2018年9月、経団連は、2021年に大学卒業予定の大学生の就職活動から、既存の就活ルールを廃止すると発表しました。また、2019年4月には、経団連と大学が、通年採用を拡大することについて合意しました。

2020卒までは、3月から企業が採用情報を解禁し、6月から採用面接を開始するルールがありました。このルールが廃止される2021卒以降は、企業は1年中採用活動を行うことが可能です。「就活ルール廃止」と「通年採用拡大」は就活にどのような影響をもたらすのか、就活生の親はどのような心構えで就活生を支えれば良いのか、解説いたします。

内定式までに入社予定者を決定する方針は変わらず

結論を言うと、就活ルールが廃止されても、10月1日の内定式が採用活動の区切りになると考えられます。
現在、ほとんどの企業は、10月1日に来年度入社予定の学生を集め内定式を行います。内定式後、内定辞退をする学生はごく少数です。なぜなら、多くの企業が6月中に来年度入社分の内定を出し終えるので、学生は6月までに内定が出た企業の中から、就職先を決めることになるからです。
就活ルールが廃止され、もし10月1日以降に多くの企業が採用活動を続けることになれば、内定式出席後に内定辞退をする学生が増加することが予想されます。しかし、企業にとって10月1日の内定式後、入社予定者が大幅に変わることは、採用計画、経営計画が狂うことに繋がるため、避けたいことです。よって、現行就活ルールのように、採用のピークを各社揃えるに収束していくことが予想されます。

青田買いが加速し、就活は早期化する

一方、企業が有望な学生に早期に接触し、早々と内定を出す「青田買い」はますます増えると予想されます。
2020卒までの就活ルールでは、6月1日以降に面接選考を開始するという取り決めがありました。よって、多くの企業ではこの取り決めを形式的に守るため、「面談」という名目で学生の選考を行い、面接解禁日の6月1日に内定を出してきました。
就活ルールが廃止される2021卒以降は、内定を出すタイミングに規制はなくなるため、企業は優秀な学生に早々と内定を出すことが可能になります。よって、企業は優秀な人材を他社に先んじて確保するために青田買いの早期化が予想されます。現行就活ルールのもとでは、青田買いの対象はもっぱら大学3年生ですが、大学2年、1年生もターゲットとなるでしょう。

大学1年生から就活の準備を

就活の早期化に対して、大学生はどのように対応していけばいいでしょうか。
従来の就活では、大学3年生の夏ごろから、インターンに参加するなどして少しづつ就活の準備を進めていき、大学3年生の3月~4年生の6月の4ヶ月間、就活に専念する形が一般的でした。
しかし、企業が大学1年生から青田買いを始めるようになれば、学生は大学入学後すぐ就活の準備を始める必要があります。
就活の準備といっても、バイトや勉強を放棄するということではありません。バイト選び、専攻選び、サークル選びなどの選択一つ一つを将来のキャリアにつなげることができるものにしましょう。多くの学生は、就活に有利だと考えて、サークル代表を務めたり、バイトリーダーとしてバイトに打ち込んだりします。しかし、人事採用担当者からすると、サークル代表やバイトリーダーを務めたエピソードは没個性的です。就活生は、最高の接客を学ぶために高級ホテルのレストランでバイトをしたり、縦社会のしきたりを学ぶためにスポーツに打ち込んでみてください。学生時代に自分のキャリアについて徹底的に考えることは、自分がやりたいことは何か、どんな人生を送りたいのかを見つけるために重要なことです。

就活生はいつでも準備不足

就活生は、これまでも何度か就活時期の改変に振り回されてきました。就活解禁日が前年と変更になり、先輩の経験があてにならず十分な準備ができなかったという声が、就活生から多く聞かれました。
しかし、就活ルール変更がない年も同様に、十分な準備ができず、満足いく就活ができなかったと反省する就活生は数多く存在します。
この事象から言えるのは、就活時期変更の有無に関わらず、就活生は準備が足りないために失敗するということです。
逆に考えると、しっかり対策をしておけば、他の人より有利に就活ができるということです。
就活生の親御様は、今年の就活は例年以上に「早めの準備が肝心」ということを心に留めておいてください。もしお子様が何かしらの就活に対する支援を求めてきたら、応じてあげると良いでしょう。就活にはお金がかかりますが、就活時期の頑張りで今後の収入が大きく変わっていくことを考えると、投資価値は十分にあります。